女性薬物事犯者の処遇についてのセミナー

私は参加できなかったのですが

薬家連のきょうこさんから、女性刑務所に収容された受刑者の処遇についてのセミナーについて、内容を送っていただきました。

ぜひNADAのHPで公開させていただきたいとお願いしたところ、ご快諾いただきましたので、投稿させていただきます。

以下、きょうこさんからのメッセージです。

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このセミナーでは、女性刑務所に収容された妊娠中の女性受刑者について、出産後の彼女達のその後について、そして生まれてきた子ども達について、語られました。

一般には公開されていない実態や現状を聴くことができたことは大きな収穫でしたが

日本の薬物事犯者、特に女性薬物事犯者への処遇は、後進国並みなのだと痛感しました。

やっかれんの今後の活動の中で、法務省や厚労省に改善できるところは改善するよう働きかける努力をします。

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【セミナーの概要】

場所:ダルク女性ハウスセミナー in 北とぴあ 

日時:2017年6月5日

主催:NPO法人ダルク女性ハウス

助成:ファイザー製薬  「心とからだのヘルスケアに関する市民活動・市民研究支援」 

メインタイトル:最も困難な状況の母子の支援 「刑務所に収監された母と残された子ども」

【プログラム】

1.講演 「女子刑務所のあり方研究会から見えてきたもの」堂本暁子さん(前千葉県知事)

2.講演 「薬物事犯女子受刑者について」牛木潤子さん(福島刑務支所 教育専門官)

3.パネルディスカッション 「刑務所を出た後の子どもとの関係 」後藤弘子さん(千葉大学大学院教授)と女性ハウスのお母さん達

4.報告 「出所後の子育て支援をどう受けてきたのか」当事者本人

5.講演 「海外からの報告 ~処罰から地域支援へ」古藤吾郎さん(日本薬物政策アドボカシーネットワーク ディレクター)

【セミナーの内容ときょうこさんの感想】

講師や報告者が語ってくださった内容とパネルディスカッションで語られた実態、また、わたしを含めた参加者からの感想を下記に記してみました。

女性受刑者は、妊娠・出産・母子分離・閉経・摂食障害など、女性ならではの特有の課題があるにも関わらず、これまで男子刑務所の一部として男性受刑者と同じに扱われてきた。

こうした性差医療などの課題に取り組むためには、今後、地域の行政・福祉・医療・助産師協会・看護協会・民間団体との連携が必要。

もっとも優先されるべき妊娠中の受刑者が自傷他害の恐れありということで腹帯を許可されなかったり、出産後、当然のように母子分離され、母子育成もないがしろにされるなど、支援は皆無。

一方、海外では、妊娠中や子育て中の女性受刑者を刑務所で処遇しないで、母子が入所できるユニットがあり、子ども中心の処遇や支援の手が差し伸べられているとのこと。

薬物問題の背景には貧困や虐待・暴力の問題があり、世界的にも男性より女性の方が偏見や差別を受けやすく回復も難しい。

それ故に、さらなる危機的状態に陥りやすい現状があるなか、国連加盟国に推奨されている国連規則では、妊娠中や子どものいる女性受刑者はできるだけ拘禁しない判決を優先すべきことや受刑者の子どもの福祉を重視した判決が行われるべきといった流れがあることも報告された。

日本では、女性受刑者の40%が薬物事犯者であるのに、依存症としての治療や出所後の支援も無く、犯罪者の烙印を押されて社会に戻される現状を変えなければ、薬物問題は解決に向かうことはできない。

刑務所入所中と出所後の一環したケアーが必要。

虐待サバイバーで子どものいる受刑経験者からは、精神的身体的に実際どんなことに困っていたか、女性ハウスで何に救われたかを、今は淡々と語っているが問題の根深さや回復の軌跡が心に突き刺さった。

女性受刑者の人権が軽んじられているだけでなく、女性刑務官の人権も尊重されていない。また、女性刑務官の労働環境の整備も配慮されるべき。

男性受刑者を想定してデザインされているのが現在の刑務所なので、女性受刑者向けのデザインが必要。

女性刑務所の教育専門官は、受刑者が暴れた時や逃走した時の取り押さえ方や護身プログラムを月2回は受ける一方、教育専門官であるにもかかわらず、教育プログラム研修は年に1回という実態。

堂本さんは、国内9カ所の女子刑務所を調査し、9カ所すべてで官民協力のモデル事業を展開し、処遇改善が遅れていた男子刑務所でもこのモデル事業は、現在は行われるようになったとのこと。

といっても、刑務所は受刑者に懲役をさせるところなので、刑法にのっとって、受刑者は大半の時間を「作業」に充てられているそうで、「治療」という時間は無きに等しいとのこと。

刑務所は懲役受刑者を収容し、社会の治安を守る施設であるということが大前提なので、「社会復帰のためのリハビリ施設」とか「社会に開かれた施設」という位置づけからはほど遠い。

日本では、「ダメ絶対」や「覚せい剤やめますか、人間やめますか」のキャッチフレーズのごとく、自己単純使用だったとしても刑務所に入らなくてはならないが、国によっては、自己単純使用であれば刑務所に収容されず、依存症イコール病気なのだから、治療のシステムの中で回復へのスタートラインに着くことができるとのこと。

薬物使用は、社会的に大きな脅威にはなりえないのだから、刑務所に収容することに効果があるのか?

「収監」という言葉は明治41年に制定された監獄法で使われていた用語なので、「収容」に変えるべき。

薬物事犯者の家族は、社会からのバッシングを恐れ、声をあげられずにいる。

たとえ声をあげても取り上げられない現状を打破すべく、今年はオーストラリア研修での家族プログラムに家族が同行し、研修を受ける。

また、今できることとして、24時間電話相談や共依存コミック作成に取り組み、家族の実態を社会に周知できるよう活動を展開中である。

200名近くの参加者の中に、報道関係者も参加されていて、今後、薬物問題を特集するので家族からも話が聞きたいと、数社から取材依頼の話があった。

人々の関心から全くと言っていいほど関心を持たれていない妊娠中の女性受刑者と彼女達の子ども達に、回復の道筋や支援の手が差し伸べられるように、どのような活動ができるのだろうかと考えさせられたセミナーだった。