The Wall Street Journal 「薬物過剰摂取、米職場で死者が急増」

http://jp.wsj.com/articles/SB10824728212351264742604583586600180133468

 

米国では昨年、意図せぬ薬物やアルコールの過剰摂取による職場での死者数が前年比で30%強増加した。

米政府による最新の統計で分かった。

中毒死をもたらす医療用麻薬オピオイドの乱用阻止のための闘いは、米国民の職場にも広がりつつある。

 米労働省労働統計局(BLS)が19日発表した2016年致死性労働災害国勢調査によると、

医療以外の目的で勤務中に薬物・アルコールを意図せずに過剰摂取したことによる死者数が217人と、

15年の165人から急増。BLSが統計をとり始めた2011年に比べ、ほぼ3倍に膨らんでいる。

だがこの統計で示されたことは、より大きな問題の一部に過ぎない。

疾病対策センター(CDC)の推計では、薬物の過剰摂取による死者数は昨年に6万4000人を突破した。

ドナルド・トランプ大統領は10月に、オピオイド中毒が深刻な社会問題となっていることから、「米国公衆衛生に対する緊急事態」を宣言している

ウエストバージニア大学のジョン・デスキンズ准教授(経済学)は、

「薬物・アルコールの乱用の危機が職場にも広がっていることは何も驚くべきことではない」と話す。

労働省労働安全衛生局(OSHA)担当のローレン・スウェット副次官補は、

「労働省は職場でのオピオイド危機克服のため官民の関係者と協力していく」と述べた。

労働災害国勢調査によれば、16年の労働災害に伴う死者数は7%増の5190人だった。

また同年の職場での自殺者は、前年比27%増の291人に達した。

BLSが職場での自殺者の統計をとり始めた1992年以降で最多だ。

薬物乱用は経済にも大きな損害を与えている。

CDCが実施した2013年の研究によると、常習的な欠勤や怠慢による生産性低下、

さらには医療費などによる経済的負担は年間で推計785億ドル(約8兆9000億円)に達する。

プリンストン大学のアン・ケース、アンガス・ディートン両教授(経済学)は

15年に発表した共同論文で、1990年代終盤以降、

白人中間層の間で増加している自殺や薬物・アルコールの過剰摂取による死亡を

「絶望からの死」と呼んだ。