Seattleにはメサドンクリニックが3か所あります。
今回、私が見学に行ったのはその中の1つ、EverGreenHospitalです。
ここはNADA JAPAN顧問の中野佐智子先生が以前働いておられ
また現在 日本人鍼灸師のYojiさんがおられるというご縁で見学が可能となりました。
EverGreenHospitalは毎週月~土、朝6時からお昼1時までがAcupuncture の時間になっていますが
開始時間から終了まで、ひっきりなしに出入りがあり
席が空く事はほとんど無いそうです。
一番混むのは月曜の朝イチだそうですが、みなさん日曜日に我慢に我慢を重ね、
月曜を心待ちにされているということなのでしょう。
私が見学したのは5/8月曜日の午前10時から午後1時まででしたが、席が空くことはほとんどありませんでした。
ここでの耳鍼は問診も無く、クライアントが席に着くと軽く挨拶をしてポンポンポンと耳に鍼を置き
そのまま40~50分リクライニングチェアーにゆったりと腰をかけて、ほとんどの方はすぐに眠りについていました。
施術中の写真はNGなので、終了後、Sachiko先生にモデルになってもらい写真を撮りました。
時間が来るとYojiさんが声をかけ終了です。
全てが穏やかで、どこか厳粛な雰囲気でした。
Yojiさんになぜこの仕事を選んだのですか?と問いかけてみたところ
「Yoji最高だ!と言ってもらえた時が嬉しいから」という答えが返ってきました。
薬物で人生がどうしようもなくなり、救いの手を求めた人が耳鍼と出会い、心の平安を得ることができた。
だからここに来るんだ、と言ってもらえる喜びは何物にも変え難いと思います。
日本では依存症は病であるという認識はまだまだ低いのが現状です。
依存症にも色々ありますが、薬物依存症となると「病」ではなく「犯罪」であると捉えられ、
厳罰を与えることが唯一の解決法となっていますが、
実際、厳罰を与えるだけでは何の解決にもなってい ないことは再犯率の高さからも伺い知れます。
薬物依存症者にとって必要なことは厳罰ではなく回復のための治療と環境です。
アメリカのメサドンホスピタルはまさにそれを実践している場所といえます。
「なぜ、日本にはこのような場所が無いの?」私がEverGreenに来て一番に感じたことはそこでした。
理由は色々あるかと思います。
法律、人員の問題などなど考えたらきりがありません。
きりが無いからやらないでは、現状は何も変わらない。
アメリカでは、依存症であろうがなかろうが
「人が人として生きる」
ことを大事にしていると感じました。
どんな人にも拠り所が必要です。
その拠り所を他人が否定することなく、受け入れ、共に生きる。
そのフトコロの大きさをEverGreenで垣間見たように思います。
日本にメサドンクリニック作りたいな、と言ったら笑われました。
さすがにメサドンはお渡しできませんが、依存症の方々が安心して治療を受けることができる場所は作れるはずです。
NADAJAPANとしてやらなきゃ!と強く強く感じました。